| 東京統一管理職ユニオン 2025~2026年度方針(要旨) 2025年11月22日 第35回定期大会決定 |
| 私たちを取り巻く情勢と課題 1.参院選の結果と高市首相の登場 7月の参議院議員選挙では、与党が大敗したものの、でき上がった新たな政治の枠組みが私たちにもたらすものは、おそらくろくでもないものになろう。国会全体の「右傾化」は参政党や日本保守党の伸びにも見えるように、明らかだ。端的に言えば、中小零細企業労働者や女性を中心とする非正規雇用労働者の声を聞く政治勢力が益々はっきり見えなくなったからである。 高市政権は防衛力増強=強い国家を標榜する、文字通りの国家主義政策を前面に押し出している。実際にはこの国を支えている外国人を排斥する排外主義を掲げ、極右と言っても良い政策だ。維新との連立はその姿勢をますますはっきりさせる。その傾向は社会的な「雰囲気」にも反映し、宮城県知事選挙では参政党の推す候補が大量得票をした。仙台市では自民党を大きく上回る得票を得たという。 国民民主党は、「103万円の壁」問題で明らかになったように、個々の労働者の手取りを増やすと言いつつ、労働条件や労働者の団結には触れることなく、結局バラバラな一人一人に政治が「恩恵」を与える構図であり、「勝ち組」中心の新自由主義と親和的である。参政党はそもそも天皇制国家論者で、さらに排外主義を露骨に主張する極右政党であると見なしてよい。 両者の「躍進」は、与党の敗北を招いたとしても、私たちにとって有利な情勢とは言い難い。立憲民主党はこの両者に票を奪われ、共産党も後退した(参院選では立憲民主党は共産党が候補を下ろしたことでかろうじて大幅議席減を免れたことにも注意すべきだ)。公明党の連立離脱は、政治勢力の立ち位置を分かりやすくはしたが、排外主義右翼を支持する勢力が極めて大きいことを示した。国際情勢も極めて厳しいこの時代、トランプ的「一国主義」=排外主義に抗して、必死に働かざるを得ない普通の労働者(エッセンシャルワーカーと呼ぶか?)を組織する私たちの政治的・社会的立ち位置も問われることになる。 厳しい「冬の時代」に私たちは立ち向かわざるを得ない。 2.「新しい戦前」が、本当に戦争の時代になった 戦争が世界標準か!――新自由主義とグローバリゼーションの帰結 ロシアのウクライナ侵略が続き、イスラエルによるガザのジェノサイドがやまない。加えてイラン攻撃にアメリカが参戦。そしてロシアが「アメリカの侵略」を非難するという茶番。「国際協調」が吹っ飛び、「国家対立」の時代。弱肉強食・帝国主義の時代に戻るのだろうか。 トランプの大減税=「大きく美しい一つの法案」が成立し、国境警備は増額、気候変動対策は廃止や縮小、低所得者向け医療保険制度の縮小などが中心だと言われている。アメリカ国内にもさらに分断が持ち込まれ、低所得者が困難になる格差社会がますます拡大する。そしてアメリカはますます「一国主義」に突き進むだろう。 トランプ関税はアメリカ国内ではインフレを招き、総じてアメリカ経済への信認が低まることは明らかだ。その結果ドルへの評価が下がり、EUや中国が独自の経済ブロックを形成する方向に踏み出す事態だ。円はドル、ユーロ、人民元に次ぐ第4の通貨と言われるが、その実力は小さく、アメリカの言いなりなので国際的評価は低い。日本は「円ブロック」などを妄想してはならないが、食料やエネルギーを輸入に頼らざるを得ない以上、国際協調と独自外交を進める政治が望まれる。 そして我々労働者・労働組合の国際連帯は発揮できるのだろうか。 3.トランプの政策は一過性ではない 「関税戦争」も続く トランプの「自国中心主義」は、逆説的だが、グローバル化・新自由主義の進展の帰結だ。サッチャー・レーガン・中曽根の時代に始まった新自由主義とグローバル化は、結局世界中で富の集中を生み出し、金持ちにお金が集まり、貧乏人が増えて、貧富の差が極端に大きくなった。そこから世界各国で例えば「移民のせいで貧乏になった」と排外主義の声が強くなり、格差と分断の拡大の中で排外主義右派が勢力を拡大した。2期目のトランプ以前から、フランス、ドイツなどで右派が伸長し、東欧や中南米でも同様の傾向が強まった。反民主主義的勢力も広がり、韓国でもそうした動きがみられた。トランプもそれと同じで、反民主的、独裁的な様相を示す。日本にも同じ動きがみられる。 世界的な格差の拡大 そもそも世界が大きく変化し、お金がお金を生むお金持ちの世界とひたすら働く貧乏な労働者(エッセンシャルワーク)の世界に分裂、「経済」が金融の動きと同一視されるようになっている(水野和夫『シンボルエコノミー』祥伝社新書)。 一方で中国やロシアなどの権威主義的国家が台頭し、国際協調が成立しがたくなっており、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのガザ虐殺を止めることができない。ついにはトランプも仲間入りして、アメリカのイラン攻撃にまで至った。トランプが「一国主義」を後押ししている。 こう見ると、トランプの政策は世界の政治・経済の動向に沿うものであり、このまま推移すれば、国際協調が放棄され、関税対決から金融戦争へ向かう。戦前と同じことにつながりそうである。まさに「新しい戦前」だ。いやすでに戦争が始まっている。大げさではなく、私たちがその中にいることをしっかり自覚的に捉えねばなるまい。 4.きわどい日本経済と私たちの生活 日本はアメリカの「ポチ」であり続けては破滅する 日本の「朝貢外交」 高市がトランプの隣で跳びはねる図は、まさしく「ポチ日本」のありようを示した。赤澤大臣のトランプ帽子をかぶったはしゃぎようは、まるで「朝貢」外交の使者であり、日本がトランプのポチであることを強く印象づけた。この「ポチ」ぶりは、戦後の日本経済・政治の一貫したあり方だが、近年それがますます加速されている。 1990年頃の日米半導体協議は、結局日本国内では自動車産業だけを守り、半導体産業を壊滅させた。その後の小泉・竹中の「構造改革」はアメリカの言いなりになり失敗。経済は自動車輸出のみの「1本足打法」に頼りきり、その後の安倍政治はアベノミクスによる産業衰退を進め、集団的自衛権を容認して、政治も経済も防衛もアメリカに依存することになった。 自動車1本足打法では日本のデフォルト危機も 現在の日本経済は自動車輸出のみに頼る「自動車1本足打法」なので、トランプ関税の推移如何では自動車輸出が破綻して、この間続く日本の貿易赤字(後述)が極大化する可能性は極めて高い。その挙句に、今は海外で稼いでいるように見えるが、金持ちが逃げ出せば経常収支が赤字になり、さらに日本国債が外国人に多く保有されることになれば、ちょっとしたきっかけでそれが投げ売りされて国家財政がデフォルトになることも十分に考えられる。そうした危機を想定することも必要な情勢だ。 産業衰退の日本 この30年間の世界唯一の実質賃金低下は、日本の経済力の衰退の直接の結果であるかのように言われるが、一方で資本は莫大な利益(内部留保となった)をため込んで私たちの生活を破壊してきたのであった。エネルギー転換できない日本は、EV化にも乗り遅れ、医薬品や情報産業でも完全に立ち遅れている。医薬品貿易の赤字は年間4.5兆円、情報産業の赤字(ウェブ広告やクラウドなどのデジタルサービスへの海外支払いによる「デジタル赤字」)も6兆円を越え、私たちがスマホを使うとアメリカがそれだけ稼ぐ時代になっている。貿易赤字が拡大し続けているのだ。 この国の産業を何とかしないといけない事態は、誰の目にも危機的に映るはずだが、一方、一部の政治家と経営者は仲間内で利益を共有、所得税率が下がり、法人税も減税され、アベノミクスによる円安誘導もあって、輸出大企業の大儲けにつながった。 まずはアベノミクスをやめ、エネルギーと食料の自給を 必要なのは、まずアベノミクス(超金融緩和と反民主主義・裏金政治)をやめ、エネルギーと食料を自給することだ(コメの価格高騰はこれを求めるシグナル)。再生エネルギーに転換してエネルギーの地産地消を進める。その上で農業を再生、医療・福祉を中心にする地域コミュニティーを作り出す一方、新たな産業を育成することが、私たちの生きやすいこの国を作ることにつながる。そうした産業政策実現に労働組合としても取り組みたい。 5.諸悪の根源 この30年、生産性1.3倍、なのに実質賃金マイナス 『日本経済の死角』(河野龍太郎 ちくま新書)によれば、資本家・経営者は「生産性が上がらないから賃金を上げられない」と言っているが、実際にはこの30年間で生産性は1.3倍になっているが、実質賃金は上がるどころか下がっているというのだ。 バブル崩壊、1995年の住専危機などを経て、日本の大企業は銀行の系列融資の仕組みをやめ、自身が金をため込むようになった(その帰結が内部留保600兆円)。そのため賃金が上がっていないのである。 前述の水野和夫さんによれば、シンボルエコノミーは金が金を生む世界で、つまりは金持ちが金融で稼ぐ世界であり、対するリアルエコノミーは「モノ・サービスの取引」の世界で、労働者はこちらで生きている。だから、株高とか経済成長は労働者にはほとんど無縁だということになる。 既に世界の金持ちは「ビリオネア―」(10億ドル[1500億円]単位の所得を得る大金持ち)で、2500人ほどいるそうだ。それが多数いるアメリカでは、上位1%(T1)の所得が下位50%(B50)の所得の合計の2.01倍である。資産に関しては、驚くことにT1はB50の23倍を越える。日本の場合、所得は0.7倍程度だが、それでも大きい数字だ(そしてここには「1億円の壁」問題があり、資産格差はやはり極端に大きい)。大企業・金持ち優遇制度にもメスを入れねばならない。 日本のビリオネア―は法人企業だと言ってもよく、その内部留保は23年度末で601兆円(84年の4.59倍、GDPは1.19倍)になっている。 水野さんは次のような趣旨を述べている。 経営者が「生産性に見合った人件費決定」と20年以上にわたって言い続けているわけですから、日本労働組合総連合会(連合)は今年の賃上げ率を要求するだけではなく、過去の生産性に見合って人件費が決定されなかった分も要求すべきです。そうでないと、過去二十数年間の生産性向上にともなう賃金を放棄することになってしまいます。 企業の儲けから労働者の賃金を削った分と超低金利で利払いが減った分(つまり庶民の受け取るべき利息)で少なくとも130兆円は取り戻すべきだという。これを税金として取って、社会保障費に回すなどしなくてはならない。 私たちは大幅賃上げを実現しなくてはならないが、これは今後(将来)の生活安定のためのもので、これまで不当に削られていた賃金部分は企業に対する課税などの形で取り返すべきで、「103万円の壁」問題などに惑わされることなく、そうした運動も強めねばならない。 6.貿易赤字の拡大 産業の衰退 日本の貿易赤字(輸出額-輸入額<0)は、前述のように知らない間に長く続いている。経常収支は黒字との宣伝がなされているが、それもきわどい。 日経新聞は、次のように報じている。 [ 貿易赤字4年連続、24年5.3兆円 円安で輸出額が過去最高] 2024年の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は5兆3325億円の赤字だった。4年連続の赤字となった。赤字幅は前年比で44.0%縮小した。輸出入の数量はいずれも減少しているものの、歴史的な円安が輸出額を押し上げた。 そして、今年になって「経常収支2年ぶり赤字 1月2576億円」とも報じられている。日本経済は安泰ではないのである。 一時的に、国内需要の低迷や輸入物価の落ち着きなどにより貿易赤字幅は減少トレンドにあるとも言われたが、国内需要の低迷による貿易黒字転換は決して良いことではない。 7.物価の高騰 日経新聞によれば、総務省が7月18日発表した6月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は、変動の大きい生鮮食品を除く総合が111.4となり、前年同月と比べて3.3%上昇した。5月の3.7%を下回り、4カ月ぶりに伸び率が鈍化したものの、大幅な物価上昇がつ付いている。ガソリンの小売価格を抑えるための定額補助が、今回伸びを抑えたと言われている。コメ類の上昇幅は100.2%だった(要するに倍になったということだ)。物価高騰は止まらず、実質賃金の低下がさらに続いている。食費負担が大きく、庶民の家計は極めて厳しい。 東京新聞によれば「帝国データバンク」が独自に試算する「カレーライス物価」は13カ月連続で最高値を更新したという。この10年で見ると消費者物価指数の10倍も上昇しており、物価高騰の私たちの食卓・生活への影響は、通常の物価上昇率をはるかに越えることが分かる。 8.新自由主義の浸透と不平等・格差の拡大 これまで述べたような経済状況の結果、格差の拡大が極端に進んでいる。これは、私たちが春闘を闘う過程でも強く実感したところだ。企業規模、正規雇用と非正規雇用、性別による格差など、一向に縮小されない。ジェンダーギャップ指数は、依然として世界でも最低レベルが続いている。 その中で雇用は破壊され、生活できる賃金が得られない状況も生じている。タイミーに象徴される「スキマバイト」や、ウーバーイーツやアマゾンの配達員など、フリーランスだとされて、本来適用されるべき労働法の保護さえ受けられない人々も多い。そして、政府は副業・兼業を勧めている。生活のためにダブルワーク、トリプルワークで長時間働けと言っているのだ。 格差は解消できる トマ・ピケティによれば、スウェーデンでは1965年から第一次世界大戦まで、選挙権は最富裕層20%の男のみだった。しかもその男に対しても納税額に応じて1票から100票まで与えられるという制度だった。地方自治体ではたった一人の有権者が全体の票の50%を握ることができるところもあったという。それが労働組合と社会民主系の政党による参政権運動が奏功し、1920年に普通選挙が実現した。その後、平等度の高い社会ができていることは知られている通りである。 このように、そう長い期間をかけなくても民意をくみ上げれば社会制度を変更でき、平等社会へ向かうことは確実にできるのである。 9.気候変動と私たちの命と暮らし 最近の梅雨の異変や夏の猛暑(それも北海道の気温が沖縄より高いということまで起こっている)を振り返るだけでも、地球の気候変動は尋常ではないことが分かる。その結果、農業や水産業が大きな影響を受け、食糧問題に直結する事態が始まっていると言える。そればかりか、酷暑が直接人の命を奪うことにもつながっており、地球環境を守るために何をすべきか、何から取り掛かるか、具体的な対処が求められている。 政府が「地球温暖化対策」も理由にして、原発推進に転換し、それに関西電力が追随して原発新設を打ち出すなど、真逆の政策を止めさせることも極めて重要な課題だ。 10.労働基準関係法制研究会報告など、労働法制をめぐる課題 ①労働基準関連法制研究会報告と労政審の進行 「労基法改訂」を議論する労働政策審議会労働条件分科会は、今年1月21日から10月まで13回開催されている。急ピッチで、年度内に法案要綱を出し、来年は国会へ改悪案上程の運びとなるとも言われる。 労基研の座長を務めた荒木教授がその分科会会長だったが、4月で退任し、後任は山川隆一氏(明治大学教授・東大名誉教授)になった。公益委員には「労働者の味方」はごく少数(労働法学会に労働者側の人が少ないという事実に注目されたい!)であることが実情だ。 労働基準関係法制研究会は学者のみで構成されており、労働者の意見が取り上げられないところだったが、労働条件分科会も似たようなものである。労働政策審議会(労政審)は「公労使3者構成」だから、(連合が労働者を代表できないことはともかく)労働側(連合代表のみ)、使用者側の代表もいる。しかし、労使の委員は、それぞれ意見を言うのみで、それに基づき議論がなされることはほとんどない。議論はおろか、意見の「交換」もされない。だから、有力な学者(公益委員)と厚労省が結論を導くことになるわけだ。これまで見てきたように、その有力学者が使用者側と意を通じているので、労働者のためになる方向が打ち出されることはまずありえないと言えるのである。 なお、技能実習制度に代わる「育成就労」制度についても、今有識者による会合が進み、法律が準備されている。下請法なども議論されているようで、2027年は労基法(関連法を含む)の改訂が集中する気配がある。要注意だ。 その他、下請法(製造業と運輸)、価格転嫁問題(建設業法改定)、フリーランス問題、外国人(育成就労制度)問題も急ピッチ。すべてが2027年に集中して出てきて法制化が進みそうだ。 ②労働者性 労働基準法における「労働者」に関する研究会開始 「労働基準法における「労働者」に関する研究会が5月2日に始まり、これまで労使問題に関与する弁護士のヒアリング、労働判例の分析などを進めている。委員は9名の学者、座長は岩村正彦東大名誉教授。この人は中労委でひどい命令を出したり、審理を尽くさずして、労働側に被害を与えてきた。 議論されるのは、現行の労働法上の労働者の定義が1985年の労基法研究会報告でまとめられたものなので、40年が経ち働き方が多様化したためこれを見直すことだという。プラットフォームワーカー問題などを想定しているようだが、私たちとしては労働者の範囲を広げ、資本に使われるものはすべて労働者だと訴えたい。 ③同一労働同一賃金 労働政策審議会職業安定分科会雇用環境・均等分科会 同一労働同一賃金部会 長い名前だが、審議は急ピッチで進んでいる。テーマは「同一労働同一賃金の施行5年後見直しについて」で、パート有期法の見直し、派遣法の見直し、同一労働同一賃金ガイドラインの見直しをするという。現在までのところ、労働側は「法改正が必要」と発言するも、給与・賞与・退職金に不当な格差があることは大きく追及していない。 使用者側は「裁判例も少なく法改正は時期早々。現行制度で対応」と強調している。さらに、「労使コミュニケーション」を重視すればよいと、労基研報告にも触れられた「労使自治」万能論を振りかざしている。 この問題については、私たちのキステム闘争でも明らかになったが、最高裁の態度を改めさせることが喫緊の課題でもある。さらに、前述した社会的格差の大きな原因でもあるところから、取組みを強めたい。 2025~26年度活動方針 1.組織維持はどのように進めるか (略) 2.組合員を増やす取組み (略) 3.対外共闘 私たちのユニオンは、コミュニティ・ユニオンネットワーク(全国・首都圏)及び、中小労組政策ネットワーク(中小ネット)の二つのネットワークに所属し共闘関係の二本柱としてきた。両ネットの一員として更に関わりを強めていく。また「雇用共同アクション」にも参加している。この活動も強める。 そうした枠組みの中で、全国一般全国協議会や東京労組との関係も作られており、共闘関係の拡大にさらに取り組みたい。とりわけ、東京労組とは日常的に同じ空間にいるので、できるだけの協力関係を構築すべく、さらに力を尽くしたい。 NU東京との共闘を更に強化しよう。当面、そのための協議を始める。さらに東京労組や中小ネットなどの争議支援に取り組んで、共闘を拡大したい。 4.日常の組織活動等 (略) 5.労働組合の社会的課題にも取り組もう (1)大企業の内部留保を吐き出させ、累進課税を強化、生活一時金獲得へ! 大企業の内部留保(今や600兆円!)を吐き出させ、同時に中小企業助成策を拡大させ、生活一時金を勝ち取る闘いに着手しよう。 法人税の税率は42%から、新自由主義政策のもと年々下げて現在23.2%。所得税の最高税率も60%から45%まで引き下げられた。一方消費税は3%⇒5%⇒8%⇒10%と引き上げられている。1990年度以来の税収の推移を比べると、税収の総合計が60兆円余りと変わらないのに、法人税と所得税は減っている。その減少分を丸々消費税が埋めている訳だ。法人税を払っている6割は大企業で、最高税率の所得税を払っているのは富裕層。この30年間、大企業と富裕層は減税で恩恵を受け続けてきたわけだ。この税率を旧に復し、累進税率を強化して、大企業・富裕層に正当に負担をさせ、再分配を強力に進めることが不可欠だ。 (2)労働は時間で評価されることを確認し、フリーランス・個人事業主だから労働者でないとする攻撃をはね返そう 昨年の厚労省「新しい時代の働き方に関する研究会」は、働き方の「多様化」に対応して、「労働者」概念を検討すると言い、「事業場」単位をはずすとも。明らかに労基法の「一律規制は見直す」方向をとっている。また、労働組合(集団的労使関係)を前提せず、「1 on 1」等との表現を使って、労働者個人と企業の「コミュニケーション」を強調。結局は、「上層」労働者の個人事業主(フリーランス)化の促進を狙うということだ。本久教授(國学院大)は、「実労働時間規制をやめる方向だ」と指摘、上層と下層はフリーランス、真ん中の限定正社員や非正規労働者は規制が残っても、実質的に時間規制の力が及ばなくて、低賃金状況に変わりはないということだ。 とりわけフリーランスに関しては、そこに労基法を適用するとは言っていない。逆に、総フリーランス化で、労基法のいらない世界を想定しているように見える。 そして、具体的に労働時間問題に注目し、以下の諸点を(特に職場での)活動の重点に据える。 ①残業は使用者の一方的命令ではできない。必ず、労働者本人の同意を得る。36協定を厳格に結ぶ ②固定残業代制度を許さない ③在宅勤務が行なわれるなら、時間管理を厳格に ④シフト制について、労働者への不利益を許さない ⑤高度プロフェッショナル制度反対、裁量労働制拡大反対、さらに両制度廃止 (3)労働基準法の解体を止めよう! ――「労使自治」の名の下、団結権解体・労働基本権剥奪が目論まれる ① 新しい時代の働き方に関する研究会報告 前項で触れた通り、厚労省が2023年3月20日に設置した「新しい時代の働き方に関する研究会」は、昨年10月半ばに報告書を公表した。 その研究会メンバーの中で唯一の労働法学者であった水町勇一郎教授(安倍働き方改革の旗振役)は、会議に出したレジュメで労働基準法について「国家による上からの一律の規制に代わる新たな規制手法を考える」と言っていた。労基法は労働者が団結して初めて労使対等になるという考えのもと作られているが、政府・資本は、その前提となる団結権(労働組合)を解体し、バラバラな個人と資本が直接対峙する構図を準備している。そこから「労働者代表問題」がテーマになる。「労使コミュニケーション」に着目するのは、新たなる団結禁止法ではないか(1799年イギリスで団結禁止法制定、それを労働者・労働組合がはね返し、ちょうど200年前の1824年に撤廃された)。 ② その報告を受けて既に労基法改悪の動きが急ピッチ 情勢の項で述べたように、労働政策審議会労働条件分科会が重ねられ、労基法解体への動きは急ピッチだ。要するに最低基準を緩め、あるいはその適用から外すことができるようにするということだ。労働時間規制等を外すことが狙われている。いや、最低基準たる労基法をなくそうとしていると言ってよい。 ③ 経団連も一体! 「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」を出す 昨年1月16日、日本経団連は「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」を発表した。「労使自治を軸とした労働法制の方向性等を示す」として、要するに企業内労使で労働基準を決めるというのだ。御用組合や会社の息のかかった者と基準を決めれば、労基法はあってなきが如しだが、それが狙われている。この動きに政府と学者が呼応しているのだ。 経団連の上記提言は、「新しい時代の働き方に関する研究会報告」と同じ組立てで、同じことを、よりわかりやすく述べている。逆から見れば、政府・厚労省の意向が使用者の要求を忠実に反映していることがはっきりしたということだ。 以上、WEB上に掲示するにあたって、原文を一部省略・要約してあります。 |
| ※2025~26年度は、2025年11月22日開催の第35回定期大会から、 2026年11月の次回定期大会までの期間です。 |